雨漏り修理・屋根修理は雨漏りレスキューへ!!

屋根勾配(角度)

屋根勾配(角度)とは、屋根の傾斜の度合いを表すものです。屋上は人が出ることができるほぼ平らな形状ですが、屋根は傾斜がついています。その傾斜の度合いを屋根勾配と呼びます。

屋根勾配イラスト
  • 傾斜が急な屋根を「急勾配(きゅうこうばい)」

    急勾配イラスト
  • 傾斜が緩やかな屋根を「緩勾配(かんこうばい)」と呼びます。

    緩勾配イラスト

屋根勾配は見た目だけでなく雨水を効率よく流す為に作られています。適正な屋根勾配と屋根材を選ばないと雨漏りするリスクが高くなります。雨漏りレスキューでは雨漏り修理の部分修理も得意としていますが、屋根勾配や屋根材選びを間違っていると、屋根勾配を変えたり屋根材を変えたしないといけない等、雨漏り修理に大規模な工事が必要になるので、新築される際、増改築される際、屋根工事される際は参考にして下さい。

目次

屋根勾配の表し方

寸法勾配 (尺貫法勾配)

寸法勾配 (尺貫法勾配)とは日本の建築業界、屋根業界で一番使われるのがこの表し方で、2寸屋根、3寸勾配、3.5寸屋根、4寸5分勾配など寸で呼ばれる表し方です。
数字が大きくなるほど急勾配で0.5寸から矩勾配(かねこうばい45度)の10寸、合掌造りの17寸勾配まで聞いたことがありますがそれ以上は外壁と近くなりそうです。
日本の建築業界では寸、尺で設計、施工されることをが主流で1寸(約30.3cm)で10寸が1尺になります。

  • 1尺(10寸)水平方向進んで3寸垂直方向に高くなるのが3寸勾配(屋根)

    3寸勾配イラスト
  • 1尺(10寸)水平方向進んで4寸垂直方向に高くなるのが4寸勾配(屋根)

    4寸勾配イラスト
  • 1尺(10寸)水平方向進んで5寸垂直方向に高くなるのが5寸勾配(屋根)

    5寸勾配イラスト
  • 例えば4寸勾配で一番低いところ(壁と屋根の接点軒先を省いたところ)から一番高いところの底辺が水平方向に5mであれば屋根の頂点は、

    屋根勾配 4寸÷10寸×5m=2mとなります。

    4寸勾配高さイラスト

分数勾配

分数勾配とは考え方は寸法勾配 (尺貫法勾配)と同じです。水平方向と高さの比率によって計算する方法です。

  • 5寸勾配は10寸水平方向に進んで5寸垂直方向に高くなりますので5/10(10分の5)勾配、又は約分して1/2(2分の1)勾配と表します。

    5寸勾配の分数イラスト
  • 寸法勾配 (尺貫法勾配)は常に○寸勾配(垂直方向に)対して(水平方向に)10寸という分母が隠れていますが、分数勾配はcm単位、m単位、寸単位であれ単位が揃っていれば、□□水平方向に進んで○○垂直方向に高くなる○○/□□(□□分の○○)という表現で、図面などでは長さ、高さを計算しやすいです。分母を揃えた場合は分子が大きい方が勾配は急になります。

    分数勾配メートルイラスト

角度勾配

角度勾配もその名の通り屋根の勾配の角度そのものを表したものです。

  • 角度勾配イラスト
  • iPhone分度器イラスト
  • 勾配=屋根角度で、屋根に上ってスマホの分度器機能等を使って測ったりして一番イメージが伝わりやすいのですが、建築においては角度が何度になるかは屋根の一番低いところ(壁と屋根の接点軒先を省いたところ)から一番高いところを決めたり、屋根材において規定の勾配を確保した後の結果で出る数字なので、角度ありきだと柱や梁など設計、施工に大事な長さが複雑になります。角度はあくまで結果の数字で柱や梁を決めた結果が下記のように細かい数字になります。
  • 3寸勾配角度イラスト
  • 4寸勾配角度イラスト
  • 5寸勾配角度イラスト
  • 30°、60°などという角度ではなく「寸」表現が一般的なのは、底辺10寸に対して高さが何寸、という表現のほうが計算上便利なためです。

急勾配

6寸以上(6/10、3/5、約30度)勾配以上の傾斜が高いことを一般的に急勾配と呼びます。急勾配のメリット・デメリットをお伝えします

  • 6寸勾配屋根
  • 6寸勾配屋根

急勾配屋根のメリット

  • 雨漏りのリスクを低減出来る

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど雨水が溜まらず流れ落ちるので雨漏りのリスクを低減出来ます。

  • 屋根材のダメージを低減出来耐久性が高まる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど雨水や汚れが溜まらず流れ落ち、水に触れる時間が減少するため屋根材のコケの発生や塗膜の痛み等を遅らせる事が出来ます。

  • デザインが性が高くなる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根が高くなりより重厚感のある豪華な雰囲気に見せる事が出来ます。ヨーロッパの屋根、神社仏閣やお城の屋根は屋根勾配を大きくとることで、ダイナミックで高級感のある雰囲気を作り出しています。

  • 屋根裏のスペースを広くとれる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど天井から屋根まで高くなりより屋根裏のスペースが広くなるため、屋根裏収納やロフトなど室内空間を有効に使えます。

  • 断熱効果を高めれる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど天井から屋根まで高くなり屋根裏のスペースが広くなるため、空気の層が大きくなる為屋根の熱が室内に伝わりにくくなり、断熱効果も高めてくれます。夏場にはより涼しく、冬場にはより暖かくなります。

  • 雪下ろしをしなくてもいい

    積もった雪が雪下ろしをしなくても自然に屋根から落ちるので、屋根に登って雪下ろしをしなくてもよくなります。雪の重みで家屋が損壊するのを防ぐことができます。

急勾配屋根のデメリット

  • 耐風性が弱くなる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根の角度や高さが高くなり風の影響を受けやす突風、台風、竜巻等で屋根が破損する恐れが高くなります。

  • 屋根面積が広くなってしまう

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根面積が広くなります。平らな屋根を1として10寸勾配(矩勾配45度)の屋根だと1.41倍の係数(屋根勾配伸び率)
    >>屋根勾配伸び率はこちら
    の面積になります。これは極端な例ですが、並勾配と急勾配で1割程度は面積は広くなります。
    >>勾配の度合いによって、どれぐらい屋根面積が増えるのかはこちら
    屋根面積が広くなるという事は当然、新築時、リフォーム時(メンテナンス、塗装時)の材料費、施工費が高くなります。

  • 足場が必須になる

    一般的に6寸勾配以上の屋根になると屋根足場を組まないとメンテナンス、塗装や新しい屋根にする等の屋根工事が出来ません。特に雨漏りがした際に足場がないと原因追及や調査が出来ないので足場を組んで原因追及してからの見積りか、もしくは足場含む最初から大規模工事を勧められたりしてしまします。
    ちなみに足場費用は、一般住宅でおよそ10万円~30万円ほど掛かると言われています。
    又、急勾配の場合、動き辛かったり屋根足場を移動しながらの作業になるので通常の屋根に比べて著しく作業効率が悪くなるので施工費も割高になります。一定以上の屋根職人の技術や経験も必要になりますので、コスト面では先述の屋根面積も増えると併せて割高になってしまいます。

  • 耐震性が低くなる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根が高くなるので遠心力で地震の揺れが大きくなったり屋根面積が増えることで重量も増えるので耐震性が低くなります。

  • 建築基準法の影響が高まる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根が高くなるので北側の日照に影響を及ぼすので、北側斜線制限などを考慮した設計が必要になります。
    急勾配の屋根はデザイン性で急勾配にするパターンと北側斜線制限で必要に駆られて急勾配になるパターンなどもあります。

緩勾配

0.5寸から(0.5/10、1/20、約3度)勾配以上3寸(3/10、約17度)未満の傾斜の屋根を一般的に緩い勾配と書いて緩勾配(かんこうばい)と呼びます。緩勾配のメリット・デメリットをお伝えします。

緩勾配のメリット

  • 耐風性が強くなる

    屋根の勾配(傾斜)は緩ければ緩いほど屋根の角度や高さが低くなり風の影響を受けにくく突風、台風、竜巻等で屋根が破損する恐れが低くなります。

  • 屋根面積が広くならない

    屋根の勾配(傾斜)は緩ければ緩いほど屋根面積が狭くなります。平らな屋根を1として10寸勾配(矩勾配45度)の屋根だと1.41倍の係数(屋根勾配伸び率)
    >>屋根勾配伸び率はこちら
    の面積になります。これは極端な例ですが、並勾配と緩勾配で1割程度は面積は狭くなります。
    >>勾配の度合いによって、どれぐらい屋根面積が増えるのかはこちら
    屋根面積が狭くなるという事は当然、新築時、リフォーム時(メンテナンス、塗装時)の材料費、施工費が安くなります。

  • 屋根足場がいらない

    急勾配ではメンテナンスや現地調査、見積に足場が必須なのに対して、安全が足場が必要でなくなったり壁面の足場のみで屋根足場が必要でなくなったりします。5寸勾配以内であれば足場を組まずに作業する業者が多いようです。
    又、緩勾配だと作業もしやすく施工期間も短くなるので、コスト面では先述の屋根面積も減ると併せて割安になります。

  • 耐震性が高くなる

    屋根の勾配(傾斜)はあればあるほど屋根が高くなるので遠心力で地震の揺れが大きくなったり屋根面積が増えることで重量も増えるので耐震性が低くなるのに対して。緩勾配は屋根が低くなり重量も減るので耐震性が高くなります。

  • 建築基準法の影響を抑える

    屋根の勾配(傾斜)は緩ければ緩いほど屋根の高さが低くなり北側斜線制限が厳しい地域で影響をを抑える事が出来ます。

  • デザイン性が高くなる

    極端な緩い勾配で他の家とは差別化したデザイン性の高い住宅に見せることができます。

  • 落雪被害を抑える

    豪雪地帯で隣との敷地が狭い場合緩勾配にして雪を屋根に留め融雪設備で溶かしたり、勾配が緩いので屋根に上って雪下ろしが出来き、落雪被害を抑える事が出来ます。

緩勾配屋根のデメリット

  • 雨漏りのリスクが上がる

    屋屋根の勾配(傾斜)が緩いと雨水の流れが悪くなり雨水が屋根面に溜まりやすく雨漏りのリスクが上がります。特に板金の処理が甘いと建物内に雨水が入りやすくなったり雨が逆流して雨漏りが発生します。

  • 屋根材の耐久性が低くなる

    屋根の勾配(傾斜)が緩いと雨水が屋根面に溜まりやすくサビの進行が早くなったりコケや汚れも溜まりやすくなるので屋根材が腐食しやすくなります。

  • 存在感のあるデザイン性には欠ける

    シンプルなデザインは出来ますが、高い屋根のような重量感のある豪華な雰囲気を見せるのは難しくなります。

  • 屋根裏のスペースを広く取れない

    屋根の勾配(傾斜)が緩いと通常、天井から屋根までが低くなり屋根裏のスペースを広く取れず屋根裏収納などの有効な利用が出来なくなります。

  • 断熱効果の期待が減る

    屋根の勾配(傾斜)が緩いと通常、天井から屋根までが低くなり屋根裏のスペースが狭くなり空気の層が小さくなるため屋根の熱が室内に伝わりやすくなり、断熱効果の期待が減ります。

  • 使用できる屋根材が限られる

    屋根の勾配(傾斜)が緩いと雨水が逆流しやすいので、スレート、横葺き材、瓦等の横目地の屋根材は使用できません板金屋根の立平や折板屋根等、使用できる屋根材が限られてきます。
    >>各屋根材の最低必要勾配の目安はこちら

  • 雪下ろしが必要

    緩勾配は屋根に雪が溜まるので落雪の被害は少ないのですが、融雪設備ない場合、雪下ろしをしないと雪の重みで家屋が破損する場合が出てきます。

並勾配

3~5寸前後の勾配3寸から(3/10、約17度)勾配以上5寸(5/10、1/2、約27度)未満の傾斜の屋根を一般的に並勾配(なみこうばい)と呼びます。並勾配は急勾配、緩勾配の中間の特徴で一般的な屋根の勾配です。

並勾配屋根のメリット

  • 雨漏りのリスクが少ない

    緩勾配での雨漏りのリスクを先述しましたが、並勾配以上の勾配があると十分水はけはよくなるので、雨漏りのリスクは急勾配と大差なく、雨漏りしないように急勾配にしないといけないという事はないです。

  • 足場を必要とする可能性が減る

    簡単なメンテナンス等であれば安全を確保出来れば、足場を必要とすることが少ないです。(塗装工事や瓦の葺き替え工事などで近隣への飛散防止を含めて足場を組むことはあります。特にスレート屋根でコケがひどくて滑るので並勾配でも足場を組むことはありました。)

  • スレート屋根コケ
  • スレート屋根のコケ
  • 施工ミスが少ない

    作業もしやすく施工方法も一般的な為、施工ミスなど不具合が生じにくい。

  • 使える屋根材の種類が多い

    屋根材を選ぶ際並勾配であればどの屋根材も規定勾配以上取れていますので、使えない屋根材はまずないです。

並勾配のデメリット

水はけ、コスト面、作業のし易さなどバランスが良く特にデメリットがないのが特徴ですが、他の家と同じでオリジナリティーには欠けるデザインにはなってしまいます。