スレート屋根について屋根と雨漏りのプロが分かりやすく解説

スレート屋根

スレート屋根とは?

スレート屋根(コロニアル・カラーベスト・化粧スレート)、波板スレート、天然スレートの3つに分類されます。それぞれの特徴について説明していきます。

スレート屋根(コロニアル・カラーベスト・化粧スレート)

戸建て住宅で一番よく見かけるのがこちらで、呼び方が様々です。メーカー名や地域、人によって、以下のように呼ばれます。

  • スレート屋根
  • スレート瓦
  • コロニアル
  • カラーベスト
  • 化粧スレート
  • 平板スレート
  • 新生瓦

ここでは、区別するために「化粧スレート」と統一して呼ぶことにします。

サイズ・主成分

化粧スレートの一般的なサイズは、幅91cm×高さ41.4cm、厚さ約5mmです。重ねしろがあるため、実際の働き寸法は幅91cm×高さ18.2cmとなります。1㎡あたりに必要な枚数は約6枚で、1枚の重さは約3.4kgです。瓦の半分ほどの軽さで、軽量な屋根材に分類されます。
主成分はセメントで繊維質の素材を混ぜて薄板状に成形・加圧して作られています。

スレートのサイズ

耐久性とアスベスト

2004年には1%以上のアスベストを含む製品の製造・使用が禁止され、2006年には0.1%以上含む製品も禁止されたため、実質的にアスベスト使用が不可となりました。アスベストは、切断時に細かい繊維が飛散し、吸い込むと肺に健康被害を引き起こすリスクがあるため、使用が禁止されたのです。
アスベストを含まないスレートは強度が劣り、台風や経年劣化で割れやすいため、修理の依頼が増えています。ただし、アスベストを含む屋根材であっても、通常の使用や屋根に乗っているだけでは健康被害のリスクはありません。施工時や解体時にのみ注意が必要ですので、その点はご安心ください。

アスベスト調査

メンテナンス

メンテナンスについては、化粧スレートの強度維持と防水性能を保つために、10〜15年ごとに専用塗料で塗装工事を行うことが理想です。コケが生えやすいこともあるため、定期的な点検が必要です。また、悪くなった部分の差し替えや補修も同時に行うと良いでしょう。これは化粧スレートに限らず、棟板金が飛ばないように釘やビスの緩みを確認することも重要なメンテナンス項目です。

スレートの塗装工事

毛細管現象による雨漏り

毛細管現象とは、液体が細い隙間や管を通って、重力に逆らい上昇する現象です。新築から屋根塗装を行うまでの間は、屋根材同士の隙間が自然にできており、そこから雨水が排水されます。しかし、屋根塗装を行う際に、この隙間が塗料で塞がれてしまうと、雨水の排水ができなくなり、カビや腐食を引き起こし、最悪の場合、雨漏りに至ることもあります。このような問題を防ぐため、塗装後には「縁切り」と呼ばれる塗膜に隙間を作る作業や、「タスペーサー」と呼ばれる部材を使用して隙間を確保し、毛細管現象を防ぐ対策が必要です。屋根雨漏りプロでは、実際にこの毛細管現象が原因となった雨漏り修理の依頼が多く寄せられています。

縁切りとタスペーサー

勾配不足による雨漏り

勾配とは屋根の傾斜角度のことで、化粧スレート屋根は横葺きタイプのため、勾配が緩いと大雨の際に雨水が逆流し、雨漏りを引き起こす可能性があります。メーカーによって異なりますが、最も緩い場合でも2.5寸(約14度)の勾配が必要と明記されています。しかし、増築や新築工事でも、この最低勾配を理解せず施工されていることが未だに見受けられます。
スレートの下には「ルーフィング」と呼ばれる防水シートが敷かれていますが、これも時間とともに劣化し、最終的には雨漏りの原因となることがあります。2.5寸(約14度)の勾配が確保されていないと、雨漏りのリスクが高まります。スマートフォンの分度器機能を使って確認することもでき、勾配不足が原因で雨漏りが発生していることがよく見られます。この場合、立平屋根などの縦葺きの屋根材を使用して施工する必要があります。

勾配不足の雨漏り

化粧スレートのメリット・デメリット

化粧スレートのメリット

  • 軽量で建物への負荷が少なく、耐震性に優れています
  • 定期的な塗り替えで色の変更も可能です
  • 材料費、施工費ともに比較的安価です
  • 金属屋根と比較して雨音が小さく、静かな室内環境を維持できます
  • セメント系の材料を使用しているため、一定の耐火性能を有しています
  • カバー工法による改修が可能で、既存の屋根を撤去せずに新しい屋根に生まれ変わらせることができます

化粧スレートのデメリット

  • 10〜15年周期で塗装工事などのメンテナンスが必要です
  • メンテナンスを怠ると、劣化が進行し、寿命が短くなる可能性があります
  • 瓦や金属屋根と比較すると、耐用年数が短い傾向にあります
  • 強い衝撃に弱く、割れや欠けが生じる可能性があります
  • 素材自体には防水性がないため、表面塗装による防水処理に依存しています
  • 経年劣化により防水性能が低下する可能性があります
  • 湿気の多い環境では、屋根表面に藻やコケが発生しやすく、定期的な清掃が必要です
  • 2005年以前に製造された製品にはアスベストが含まれている可能性があり、改修や撤去時に注意が必要です
  • 勾配の緩い屋根では雨漏りの可能性があります

波型スレート

波型スレートは、主に工場、倉庫、農業用建築物などの産業用施設で広く使用されている屋根材です。大型建築物の屋根材として長年にわたり信頼されてきました。

波板スレート

サイズ・主成分

主にセメントと補強繊維を混合して成形された波型スレートは、厚みが約6mmあります。波型の種類には「小波(谷深約18mm)」と「大波(谷深約37mm)」の2種類があり、使用環境に応じて選ばれます。幅は72cmで、長さは数種類あり、現場に応じて適切なサイズを選べます。

耐久性とアスベスト

化粧スレートと同様、波型スレートも2005年以前はアスベストが含まれていました。この時期の製品は非常に丈夫で割れにくいのが特徴でしたが、アスベスト規制以降はノンアスベスト製品に移行しました。ノンアスベスト製品は初期の強度に難がありましたが、改良が進み、現在では一定の耐久性を持つようになっています。

耐用年数と性能

波型スレートは、耐火性と遮音性に優れており、耐用年数も25年以上と長寿命です。工業用施設など、耐久性が求められる場所で特に重宝されています。塗装が施されることで、防水性が確保され、定期的なメンテナンスでさらに長持ちさせることが可能です。

メンテナンスと塗装の重要性

波型スレートは、定期的な塗装メンテナンスが必要です。特に、ボルト周りの防水処理が重要で、これにより雨漏りを防ぎます。また、塗装の劣化が進むと防水性能が低下するため、10〜15年ごとに再塗装を行うことが推奨されます。

カバー工法による改修

波型スレートの改修工事には、既存の屋根材を撤去せずに新しい屋根材を重ねる「カバー工法」が最適です。この工法により、解体作業時に発生するアスベスト飛散のリスクを抑え、安全な改修が可能です。また、コストも削減できるため、多くの建物オーナーに選ばれています。

波型スレートのメリット・デメリット

波型スレートのメリット

  • 材料費や施工費が安価で、全体のコストを抑えやすい
  • 大面積の屋根に適しており、施工効率が良い
  • 軽量で建物への負荷が少なく、大型施設にも適している
  • 高温に強く、耐火性に優れている
  • 一定の断熱効果があり、夏の暑さ対策に貢献
  • 25年以上の耐用年数を持ち、長寿命
  • 金属屋根に比べて雨音が小さく、静か
  • カバー工法で既存の屋根を残したまま改修が可能

波型スレートのデメリット

  • 10〜15年ごとに塗装やボルト周りの防水処理が必要
  • 土埃や汚れが溜まりやすい
  • アスベスト問題:2005年以前の製品にはアスベストが含まれている可能性がある
  • 工場や倉庫などの無機質な外観になりやすく、住宅用途としてはおしゃれさに欠ける
  • 強い衝撃を受けると割れやすい
  • 大型の雹などによる損傷のリスクがある
  • 寒冷地では、凍結融解サイクルによる劣化が進行しやすい

天然スレート

天然スレート

「スレート」とは、もともと天然石(粘板岩)を指す言葉です。天然スレートは、石材を薄くスライスして作られ、美しい風合いと高い耐久性を誇ります。ヨーロッパの歴史的建造物にも多く使用され、数百年の歴史を持つ高級屋根材として知られています。現代でも、その自然な質感と長寿命から高級住宅や歴史的建物に人気があります。

天然スレートのメリット・デメリット

天然スレートのメリット

  • 美しい外観:天然石ならではの独特な模様や色合いが、重厚感と高級感を演出します。一つ一つ異なる自然の風合いが魅力です。
  • 高い耐久性:天然石であるため、非常に耐久性が高く、100年以上の耐用年数を誇ります。風雨に強く、長期間にわたり美観を維持します。
  • 防火性能:天然素材であるため、火に強く、防火性能が高いことが特徴です。
  • メンテナンスが少ない:非常に強固な素材のため、メンテナンスの頻度が少なく、長期間安心して使えるのが魅力です。

天然スレートのデメリット

  • 材料費や施工費が高額で、他の屋根材に比べて初期費用が高い
  • 天然石であるため、重量があり、屋根の構造強度を考慮する必要があります。耐震性の面でも注意が必要です。
  • 施工には高い技術が求められるため、専門の職人が必要で、施工費用も高くなる傾向があります。
  • 天然スレートは採掘量に限りがあり、地域によっては入手が難しい場合もあります。

天然スレートのまとめ

天然スレートは、その美しさと耐久性から、特に高級住宅や歴史的建造物で使用される高価な屋根材です。初期コストが高いものの、長期間にわたりメンテナンスの手間が少なく、美しい外観を維持できるため、特別な建物にふさわしい選択肢となります。

スレート屋根の雨漏り修理・工事なら屋根雨漏りプロにお任せください

スレート屋根に関する知識やメンテナンス方法をご紹介しましたが、実際に屋根の状態を判断するには、専門家の診断が欠かせません。屋根雨漏りプロでは、長年の経験と技術で、スレート屋根の雨漏り修理・点検・工事を丁寧に行います。雨漏りや屋根の劣化が気になる方は、お気軽にご相談ください。適切なアドバイスと迅速な対応で、お客様の大切な建物を守ります。

この記事の監修者

高橋聡太

高橋 聡太

アイセンスド株式会社 代表取締役
雨漏り診断士

「屋根雨漏りプロ」として、全国で屋根や雨漏り修理を専門に提供しています。高校卒業後、住宅リフォーム業界に転職し、豊富な現場経験を積んで独立しました。特に雨漏りの原因調査や散水試験に強みを持ち、数多くの修理実績があります。徹底した原因追究に基づき、お客様のニーズに合った最適な修理方法を提案しています。

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